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2019/5/17 - DoTTS Students 学生コラム

卒業生便り:アフリカの大地から(田村優)

2013年度卒業生で海外の大学院に進学し、フィールドワークのため、アフリカ南部のモザンビーク共和国に長期滞在中の田村優さん(新潟県立六日町高校)からの近況報告が届きました!アフリカの多様な文化の一端を垣間見ることができます。

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「おはよう。なんで最近顔を見せないの?」これは2日、あるいは1日外を出歩かなかっただけで多くの人が聞いてくる質問です。とはいってもその人達と特別仲が良いからという訳ではなく、私自身がその人のことを知らなくても同じ質問をしてきます。また、時には300mくらい離れていても話しかけてきます。「おーい、元気なの?もうご飯食べたの?」というように。

豊かな土壌に恵まれているここの住民たちは農業を中心に様々な職業を組み合わせることで生活をしています。土地が豊かであるため他の地域から人が引っ越してくることも多く、そのような時には多くの住民が無料で土地を貸し出しています。「外から人が来た時にお腹が減って困ることがないように」貸してあげるのだそうです(写真1、2)。

当然、外から来た人間である私は土地が持たないため、皆からよく心配されます。「ご飯食べた?あなたが太って帰って家族に喜ばれるようにいっぱいここで食べて行ってもらわないと」と言い、多くの人がご飯を作ってくれたり、作物を分けてくれたり、時には鶏をくれたりします。

紹介が遅れましたが、ここは、南部アフリカにあるモザンビークという国のとある農村です。アフリカの中でも貧しいと言われるモザンビークの中でも特に「遅れている」と称されるような地域です。でも実際に足を踏み入れてみると、先に述べたような「貧しさ」「貧困」というカテゴリーに当てはめることのできない多様な姿を垣間見ることができます。

また、それまで当たり前だと思っていたような考えを覆すようなことに出くわすことも多々あります。例えば、ここでは結婚というものは生涯を通して添い遂げる約束というような固いものではありません。「前の夫は去っていった。次が来たから結婚した」というように男性は行ったり来たりするものだと捉えている女性も多くいます。女性も男性も2-3回結婚・離婚しているのは普通、4-5回していてもおかしくありません。多くの女性たちが結婚後も自分の生まれ育った土地に残り、夫が婿に入るため、土地は女性(妻)を通して受け継がれます。その受け継いだ土地を耕し家族を食べさせるのは妻の仕事であるため、夫がいてもいなくても家族を食べさせることができるのです。一方、外でお金を稼ぎ、家族に経済的な余剰をもたらすのが夫の仕事となります(写真3)。

このように、結婚後移動するのは男性であり、多くの女性達が生まれ育った土地に残るため、彼女たちの結束はかなり強いものです。女の子が月経を迎えると必ず成人式のようなものが行われ、そこでは村中の女性達が集まり、その女の子に結婚生活を円満にする秘訣、生理の時にしてはいけないこと(例えば料理をする際に自分で塩を入れるのではなく、他の人に頼まなければならないというルール)などを事細かに教えていきます。1週間続くその儀式の間、先輩である女性達は喜々として歌って踊り、彼女が大人になったことを祝うのです(写真4、5)。

しかし、今回紹介したことのどれもが現実の一部を切り取ったものでしかありません。アフリカはもとより、私が今住んでいるモザンビークの農村も一くくりにするにはあまりに多様です。機会があれば、皆さんも実際にアフリカに足を運んでみてください。きっと皆さんの「当たり前」を覆すような出来事や人々との出会いがあると思いますよ!

1.主食のメイズ(トウモロコシの一種)。
2・パンを焼く少年。
3.カパンガと呼ばれる自家製酒を飲みながら、浮気する夫を家から追い出すか否か!を話し合う女性達。
4.女の子の成長を祝う女性達。
5.女性のサッカーチーム。