1. ホーム > 
  2.  News&Topics

2018/2/8 - News&Topics

世界遺産検定マイスター試験に交流文化学科3年永井望さんが合格

世界遺産マイスター試験に交流文化学科3年の永井望さんが合格しました。

今年の大河ドラマ『西郷どん』主演の鈴木亮平さんも1級を取得している世界遺産検定。世界遺産検定は4級から始まり、1級では世界各地の世界遺産や世界遺産制度についての高度な知識が問われます。さらに1級所持者のみがチャレンジできるマイスター試験では、単純暗記的な知識を問う問題ではなく、世界遺産をめぐる現代的な課題について論述形式で解答します。

1級合格者が少ないためマイスター試験の合格者は毎回20名程度であり、そのうち大学生の合格者はごくわずかです。

以下永井さんの合格体験記です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

先月行われた世界遺産検定マイスター試験に無事合格できたこと、また獨協大学の在学生でおそらく初めての合格者ということを聞いて素直に嬉しく思います。

私がこの検定を知ったのは、交流文化学科の授業で配布された案内を見て、世界遺産の写真が綺麗で興味を持ちました。もともと世界史や建築が好きだったこともあり、特に深いことも考えず、趣味的な気軽な気持ちで受験を決めました。しかし実際に勉強してみると、単なる知識を覚えること以上に、世界遺産の意義や役割について交流文化学科で学んだ視点からアプローチすることの重要性に気付きました。

例えば、世界三大瀑布の『エンジェルフォール』と『イグアスの滝』は自然遺産に登録されていますが、『ナイアガラの滝』は周辺の観光施設が景観保護に則していないため登録されていません。一方、『富士山』は自然遺産ではなく、登山信仰や浮世絵、海外のジャポニスムなどへ大きく影響を与えたことから、文化遺産として登録されその価値が世界中に認められています。こうした観光と環境保護の両立や、文化的価値の交流といった考え方は、交流文化学科で学ぶツーリズム概念とも重なる部分が多く、世界遺産を理解する際にとても参考になりました。

また私が1級とマイスター試験を受けた2017年は、世界遺産にとって大きな転機となる年だったように思います。パレスチナ自治区の『ヘブロン旧市街』が登録された他、トランプ政権によるアメリカのユネスコ脱退や『エルサレム』の首都認定宣言のように、世界遺産が国際ニュースの中心になりました。『エルサレム』は三大宗教の聖地として登録されましたが、中東地域の問題もあり、登録申請は実は隣国のヨルダンによって行われています。一方、イスラエルと対立するパレスチナは国家として国連に認められていませんが、ユネスコに2011年に加盟しています。こうした各国の利害が絡み、ユネスコや国際社会が動くことが難しい状況にあります。遺産の保護活動や人々の国境を越えた交流はどう行われるのか、世界遺産の背景となる問題を深く知って考える機会になりました。

このように、世界遺産を通じて交流文化学科の学びを深めるとともに、交流文化学科で学んでいることから世界遺産への理解をより深めることができたように思います。

世界遺産マイスターとなりましたが、この資格によって特別に何かができるようになったわけではありませんし、まだまだ知らない世界遺産がたくさんあります。世界遺産とツーリズム、それを取り巻く国際社会といった複数の分野を往復して考えながら、交流文化学科生として、世界遺産マイスターとして今後活動していきたいと思います。

写真:ロダンの<考える人>と『国立西洋美術館』(2018年筆者撮影)
上野にある『国立西洋美術館』は、近代建築の巨匠であるル・コルビュジェによって設計されました。7か国にわたる『ル・コルビュジェの建築作品』の構成資産のひとつで、獨協から一番近い世界遺産です。コルビュジェの建築意匠が楽しめる常設展は獨協大学の学生証を持っていけば無料で見学できます。