1. ホーム > 
  2.  DoTTS Faculty 教員コラム

2017/4/20 - DoTTS Faculty 教員コラム

Australia Day in Spring 2017 (永野隆行)

東京・三田にあるオーストラリア大使館の中庭で、4月上旬「オーストラリア・デー・イン・スプリング(Australia Day in Spring)」がありました。桜が満開になるころに開催されるので、「桜を見る会」とも言われています。毎年大勢の人が、桜を見ながら、オーストラリアにちなんだ食材で作られた料理やオーストラリアワインを楽しみます(写真1)。食いしん坊の私には、たまらない機会です!

なお、オーストラリアでは「オーストラリア・デー」というのは、1月26日です。イギリスのポーツマス港を出発した11隻の船団(The First Fleet)が、現在のシドニー湾に到着した日が、1788年1月26日でした。この日から、イギリスによるオーストラリアでの本格的な植民地建設が始まったのです。ですから1月26日は、現代オーストラリアの「建国の日」と言われています。おおよそ8ヶ月の航海を経て、シドニーにやってきた約1400人のうちの多くが囚人(convicts)であったことはご存じの通りです。

さて会場では、オーストラリア産の食材を使った料理がたくさん振る舞われていました。日本の人たちに食材を紹介する機会にもなっています。「オージー・ビーフ」のローストビーフ、「オージー・ラム」の蒸し煮、「タスマニア産サーモン」のポワレ、カンガルー肉の冷製プルコギなどなど(写真2)。お寿司も振る舞われましたが、ちゃんとオーストラリア産のお米と、オーストラリアで一本釣りされた「ミナミマグロ」のトロが使われています。おそらく日本で、これほど多くのオーストラリア産の食材が出回っていることに気づいている人は少ないと思います。マグロ解体ショーでは、ホスト役のオーストラリア大使が包丁を入れていました。私はサイズのオージー・ビーフとオージー・ラムのミニバーガー(写真3)も平らげてきました。

オーストラリアと何らかの縁がある人々、政府、企業、政治家、市民団体、研究者が集まり、ネットワーキングの重要な機会にもなっています。今回は、獨協大学にも縁のある俳優の柴俊夫さん(学生時代に俳優活動に入ったので中退されています)にお目にかかりました(写真4)。柴俊夫さんはかねてから、日豪交流に大変ご熱心に取り組んでおられ、2012年にはオーストラリア観光大使に就任、14年には「オーストラリア勲章」を受賞されています。柴さんには「母校」においでいただき、日豪交流についてお話しをいただきたいですね。

また笹本妙子さんと田村桂子さんにも久しぶりに再会できました。お二人は長年、第二次世界大戦中に日本に収容されていた戦争捕虜に関する情報を集め、事実の解明に献身的に取り組んで来ました。2009年には、英国エリザベス女王から勲章(名誉大英勲章、MBE)を授与されています。笹本さんは、『連合軍捕虜の墓碑銘』という本も出版されています(写真5)。お二人はオーストラリア人やアメリカ人捕虜の訪日交流にも熱心に取り組んでおられ、是非一度、本学に招いてお話しをしていただきたい方です。研究者としても、人間としても大変尊敬しているお二人です。お目にかかって元気になりました。

私は大学で「英語圏の国際関係」という授業を担当し、イギリスの植民地時代から現在に至るオーストラリアの歴史を教えています。オーストラリアと言えば、カンガルーとコアラだけ、と思っている人は、その歴史や「いま」の姿について学んでもらいたいと思っています。

 

写真1 今年の「オーストラリアデー・イン・スプリング」の様子
写真2 オージー・ラムです
写真3 ミニバーガー
写真4 オーストラリア観光大使 柴俊夫さんと
写真5 笹本妙子さんと田村桂子さんの著作