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2025/7/10 - News&Topics

2025草加国際村一番地・国際交流フェスティバルが開催されました

2025年6月8日、草加国際村一番地・国際交流フェスティバル(草加市国際交流協会主催・獨協大学共催)が開催されました。大学と地域を繋ぐ賑やかなお祭りで、毎年5000人以上が参加します。世界各地の屋台料理や民芸品のバザー、民族舞踊のステージなど賑やかな一日となりました。今年1回目のオープンキャンパスも同時開催されました。

交流文化学科では、社会人類学者トム・ギル氏による講演、日系ペルー人を中心としたダンス・スクール「ソル・イ・ルナ」の公演、学科の学生スタッフBeyondによるポスター・セッション、玉井ゼミワークショップを今年のラインアップとしました。

以下、参加した学生が書いてくれた報告です。

 

「在日外国人の過去・現在・未来――当事者の観点から――」
トム・ギル氏(明治学院大学国際学部教授)の講演より

かつての日本社会では、外国人に対する偏見や差別が色濃く存在していました。特に1980年代には、黒人に対してお風呂に入るとお湯が黒くなるというような非科学的で差別的な噂が広まり、公共の場でも外国人を避けるような行動が見られたといいます。たとえば、バスや電車で日本人が外国人の隣に座るのをためらう、といった無意識の差別も日常にあったそうです。こうした習慣は今も完全に消えてはいません。

しかし近年では、外国にルーツを持つ人々がスポーツなどで日本代表として活躍する機会が増え、「日本人らしさ」のイメージが多様化しています。一部の人にはまだ「見た目が日本人らしくない」と感じるケースもありますが、そのような選手たちが結果を出すことで、保守的な人々の考えにも少しずつ変化が見られるようになっています。

トム・ギル氏の講演を通じて、無意識の差別がいかに深く日常に根付いていたかを改めて痛感しました。一方で、スポーツや国際交流を通じてわずかながら意識変革が進み、人々の視野が少しずつ広がっている様子に希望を感じました。今後、共生社会を築くためには、私たち個人が日常の中で自らの無意識を問い直すことが不可欠だと強く実感しています。多様な背景を持つすべての人を当たり前に受け入れる社会を、私たちの身近な場から築いていきたいと思います。

講演後には参加者との質疑応答が行われました。その中で、「なぜ日本に住む外国人の犯罪が多い、あるいは増えていると言われるのか」という質問が挙がりました。これに対し、ギル氏は「それは主にメディア報道の問題です」と回答されました。実際には、統計的に見ても日本における外国人の犯罪件数は減少傾向にあり、日本人と比べて特段に多いというわけではないと指摘されました。

さらに、「たとえば外国人が犯罪を起こした場合には、ニュースや新聞で大きく取り上げられることが多い。一方で、同様の犯罪でもそれが日本人であれば、ニュースにならないことも少なくない」と述べられました。このような偏った報道の積み重ねが、外国人による犯罪が「多い」という印象を社会に与えてしまう要因になっているとのことです。

このやり取りを通して、私たちはメディアの報道姿勢や社会的偏見について深く考える機会となり、情報の受け取り方や多角的な視野の重要性を改めて認識しました。(3年・陣野きらら)

 

ペルーダンススクール、Peruvian Dance School Sol y Luna(ソル・イ・ルナ)

交流文化学科に在籍する学生と卒業生の家族によるペルーダンススクール、Peruvian Dance School Sol y Luna(ソル・イ・ルナ)の皆さんに華やかで力強いダンスを披露していただきました。女性の方々が身に着けている衣装やアクセサリーはとても色鮮やかで、男性の方々の衣装はスタイリッシュで麦わら帽子が印象的でした。観客の皆さんも手拍子で応援してくださり会場全体で一体感が生まれ素敵なステージでした。

ダンス披露の後には、ソル・イ・ルナの皆さんとの交流会が行われました。交流会では、衣装や装飾品に込められた意味、ペルーダンスの特徴などについてお話いただきました。ペルーダンスの衣装はペルーの山や花、空をイメージした鮮やかなデザインの衣装があり、衣装の素材にはアルパカ毛を使って作られているものもありました。さらに、装飾品にはキリスト像や聖母マリアをモチーフにしたものが用いられており、宗教的な背景も感じられました。ペルーダンスは先住民の文化とスペイン文化、アフリカ文化に影響を受けて独自に発展してきて、地域によってさらに発展を遂げてきたということが分かりました。ソル・イ・ルナのメンバーの皆さんのほとんどが日本で生まれているが、スペイン語の習得、また地球の裏側にある自国の文化、ルーツを忘れないために子供にペルーダンスを習わせる方が多いとお聞きしました。文化継承のためにもダンススクールが役に立っているのだと分かりました。(3年・黒岩新大)

 

学科公認サークルBeyond企画
“Beyond Labels; Be Yourself”  ~世界でひとつだけのジブン色を見つけてみよう~

今回の国際村では、性のあり方の観点から、無意識下での差別について研究してきました。研究の過程で、仲間たちと語り合い、フィールドワークで「プライドハウス東京」に足を運び、新たな発見の楽しさがあった一方、直面した難しさもありました。一つは、伝えることの難しさです。テーマが非常にセンシティブかつ人それぞれ異なる意見や感情を持つものであったため、いかに誤解のないように、私たち自身が無意識に差別しないように伝えられるかが大きな課題でした。大学生にもなって、日本語での表現にここまで苦しむことになるとは思いもしませんでした。試行錯誤を重ね、国際村という様々な文化や価値観が集う機会に、国籍も世代も性別も関係なく、共に考え、共に話し合う場を創ることを目指してきました。国際村当日は、多くの来場者の方が私たちのブースに足を運んで下さり、私たちが思い描いていた場をつくり上げることができました。

改めて、当日足を運んで下さった皆様、関わってくださった全ての方々、研究をサポートして下さった先生方、そして約半年間共に走ってきた国際村メンバーに、心から感謝申し上げます。 (2年・有泉心結)