2021/7/9 - DoTTS Faculty 教員コラム
大学での学びについて考えること(北野収)
受験生の皆さん、在校生の皆さん、コロナ禍が続くなか、ストレス管理、体調管理、勉強、本当に大変ですね。大分前、2020年11月30日の東京新聞に掲載された私のコラムをネタに大学の勉強の意味について考えてみたいと思います。
去年、アメリカならず全世界的に尊敬を集めている女性指導者が亡くなりました。それは、RBGの愛称で知られるルース・ベイダ―・ギンズバーグ米国連邦最高裁判事です。彼女の生涯は『ビリーブ』という映画にもなりました。アメリカの法曹界における女性のパイオニアであると同時に、女性やマイノリティの地位向上に法律家として多大な貢献をした人です。
詳細は新聞コラムを参照してほしいのですが、ルースは大学時代の4年間を振り返って、素晴らしい先生たちとの出会いを強調しています。アメリカの大学では、自学科以外の科目も自由に履修ができるため、ルースは国際政治学を主専攻に、ロシア文学、美術、音楽を学んだそうです。特に、4年次は芸術系科目だけを履修しました。文学、美術、音楽という一見、弁護士や法曹には無関係な科目をとり、素晴らしい先生に習うことができたことがとてもよかったといいます。法律家に求められる資質に正義感と人間に対する深い洞察が含まれるとすれば、ルースは目先の損得勘定でなく、もっと先を見据えて学んでいたのでしょう。
獨協大学のモットーは「大学は学問を通じた人間形成の場である」(天野貞祐)ですが、この言葉もRBGの大学での学びの選択と相通ずるものがあると私は思います。(交流文化学科 北野収)