2019/3/30 - DoTTS Faculty 教員コラム
カナダ・ノバスコシア州フェアトレード団体等調査(北野収)
2019年3月にカナダのノバスコシア州に、フェアトレード団体などについて調査に行ってきました。
私はこれまで、メキシコ南部の地域づくりやコーヒーのフェアトレードへの取り組みついて研究をしてきました(『南部メキシコの内発的発展とNGO』勁草書房、『貧しい人々のマニフェスト:フェアトレードの思想』創成社など)。私が訪問したメキシコのコーヒー組合(UCIRI)は、オランダ人のヴァンデルホフ神父が現地の貧しい農家と協同で作り上げた世界最初のフェアトレードコーヒー農協です。
今回、その取引相手であるJUST US!珈琲焙煎組合を訪問する機会を得ました。1990年代半ばに社会福祉活動家のムーア夫妻が私財を投じて設立した同組合は、カナダ初のフェアトレード専門のコーヒー焙煎業者であり、現在はカナダ有数のフェアトレード団体となりました。同州は、戦前戦後期に、コアディ神父が指導した貧しい農家や漁民の自力更生運動と協同組合経済が発達しています(アンティゴニッシュ運動)。JUST US!も、従業員80余名を抱えるワーカーズ協同組合として発展してきました。
メキシコ、カナダそれぞれで、農業の近代化から取り残された条件不利地域において、似たような「イノベーション」が生まれた条件とメカニズム、特にリーダーシップのあり方に注目しています。(北野 収)