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2018/9/11 - News&Topics

国際NGO「アドラ・ジャパン」による講演会が開催されました

本学科では2018年6月27日に「 『国際NGO ADRA Japan」と リアルな教育支援を考える ~ シリア難民支援の現場から 」という講演会を実施しました。

 

講演していただいたADRA Japanは第一次世界大戦後の1918年に設立され、今年で100年目を迎える国際NGOです。本部はアメリカで現在約120か国に支部があります。日本では1985年に支部が設立され、2000年にADRA Japanとして出発しました。ADRAの活動は生計支援、保健、教育支援、そして緊急救援の4つです。今回はシリア難民の子どもの教育支援事業をレバノンで担当していた伊藤彩さん、ジンバブエやフィリピンの台風(ハヤン)の緊急支援活動に参加された前川龍太さんからお話を伺いました。

まず、前川さんから国際協力NPO、NGOについての概要とADRAの歴史と活動についてお話を伺った後、伊藤さんからレバノンの難民の事情と子どもの教育支援についてのお話をお聞きしました。

レバノンは北のシリアと南のイスラエルに挟まれた岐阜県くらいの小さな国で、現在、シリアから内戦を逃れてきた150万人の難民(レバノンの人口は450万人)を抱えています。難民の多くは「都市型難民」とよばれ、都市で安いアパートなどを借りて暮らしていますが、正規の職には就けず、借金(平均約800ドル)を抱えている家庭も多く、子どもたちも働いて家族を支えなければいけないなど、厳しい状況です。

レバノン政府もシリア難民の子どもたちに教育の機会を与えるために、午後に公立学校で彼らのための授業を提供し、20万人近くがそこに通っていますが、それでも受け入れの施設が足りない、家族のために児童労働をしなければならない、家族の世話をしなければならない、難民に対する差別やいじめがある、レバノンの公立学校が提供する教育の内容や質がシリアとは異なっているなど、さまざまな理由から学校に通えない子どもがたくさんいます。

ADRAはそうした子どもたちに家庭訪問などのアプローチをし、ビルの1室を借りてノンフォーマル教育を行っています。公立学校の勉強を補完するための学習支援が必要な子ども、学校に通えていない子ども、就学前の子どもの学習支援のほかに、民族間の交流をはかるためのイベントや越冬資金援助なども実施しています。

伊藤さんは、シリア問題が長期化する中で、支援の見通しが立たず、シリア難民の将来を思うと非常に辛いが、自分たちの活動で子どもが笑顔になったり、現地の人と信頼関係を築いていけることが、励みになっていると話してくれました。

この講演会に参加した交流文化学科2年生のSさんは次のような感想を寄せてくれました。「現地の今の状況をリアルに感じました。特に、『レバノンでどうして難民の子どもが学校に通えないのか』という問いかけに対しての伊藤さんの意見はまさに現地の声であった。難民問題を『どこか遠いところで起こっている難しい問題』としか思えなかった曖昧なイメージが、鮮明なイメージに変わりました。私だけでなく、講演を聞いた学生は難民問題を身近に感じ、関心を持ったのではないでしょうか。」

本学科ではこうしたNGOの現場の声や難民の人たちの声から学ぶ機会をこれからも設けて、国際社会の紛争と平和について、私たちに何ができるかを考えていきたいと思います。

(文責 交流文化学科 堀芳枝)