2025/4/10 - DoTTS Faculty 教員コラム
アカデミック・イヤー 2025の抱負(長崎睦子)
2025年授業開始前の最後の週末、近所の公園に桜を見に行く。暖かい日差しの中、きれいに咲き誇った桜を眺め、自然と心がウキウキ、わくわく、ぽかぽか、ふわふわ、とろとろ、ウトウト…
ベンチに座りながらまどろんでいたら…
はっ!!
「確か、前回の(この)学科コラムには、この公園の桜の満開写真を載せたはず!ということは、(前回のコラムから)1年経ってる!コラムを書かなくては!」
急遽、うたた寝から、(このコラムの題材として)これから始まる2025 年度アカデミック・イヤーの抱負を考えることに予定を変更する。けれど、ぱっとは思い浮かばない。結局、アイディアは自分の中に取り入れたインプットや体験したアウトプットからしか生れてこない。そこで、桜の下で2024年度アカデミック・イヤーを振り返ってみることにした。
昨年度の授業の中で特に印象に残っているのが、ゼミ生と共に訪れた群馬県太田市にある「ぐんま国際アカデミー」での初等部の見学だ。授業の約7割を英語で行う日本を代表する英語イマージョン・スクール(immersion school)で、「英語を学ぶ」のではなく、1年生からほとんどの教科を「英語で学ぶ」。“immerse”は動詞で「~を(液体に)つける、浸す」という意味があるが、まさに「生徒を英語に浸す」環境があった。自然と英語を使いながら生き生きと学ぶ子供たちの姿、英語で書かれた様々な作品や展示物に感心する中で、廊下に大きく貼られたひとつの言葉が目にとまった。
“You are responsible for you!”
「自分に責任を持つ!」
はっとした。自然に英語を使っているからといって、自然に身につけたわけでは決してないのだ。子供たちは、日々の授業での活動やプロジェクト、宿題など、目の前の自分がすべきことひとつひとつに取り組み、その積み重ねが彼らの成長につながっていたのだ。
「自分のすべきことをする」意味について、昨年、MLB大谷翔平選手のエピソードからも考えさせられた。ピッチャーとバッターの二刀流の大谷選手だが、昨年は肘の手術後で投げることができず、DH(指名打者)としてプレー。見事ナショナルリーグのホームラン王と打点王に輝いた。と同時に59盗塁を達成!身体能力の高さに驚くばかりであったが、その記録は、守備でチームに貢献できない分、盗塁に新たに「自分のすべきこと」を見い出した結果であった。
これはまさに…
“With great power comes great responsibility.”
「大いなる力には大いなる責任が伴う」ではないだろうか。
アメコミ「スパイダーマン」で、主人公ピーターにベンおじさんが言う有名なセリフである。
大谷選手やアメコミヒーローの壮大な話しになってしまったが、「自分のすべきことをする」、それが難しい状況になったとしても「自分のできることをする」、その積み重ねが未来の自分の力となるのだ。
「新年度の抱負がイメージできてきたかも」と満足感に浸っていると、耳元で突然
「お母さん、聞いてる?! ホント、いっつも聞いてないよね!」
と子供の声がした。
どうやらうたた寝していたようだ(汗)。

“responsible” は 「re-(接頭辞)=back + spond (語根)=promise + -ible(接尾辞)=able」から成り立ち、「約束を返す」、つまり「責任がある」という意味ではあるが、「response (返答) + -ible (できる)」で、「返答できる」ということでもある。
我が子の大いなる指摘を受けて、「責任を果たすこと」と同時に、まずは「周りの話をしっかり聞き、それに返答できる」ようにしたい。
いよいよ新しい1年が始まりましたね!
春は出会いの季節。新入生や授業で出会う全ての学生さんとお互い「返答できる」ことを楽しみにしています。
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