2024/12/2 - News&Topics
教員新刊 北野収・西川芳昭編、田村優(交流文化学科卒業生)、宮下智衣(交流文化学科卒業生)ほか分担執筆『新装版 人新世の開発原論・農学原論』創成社、2024年11月
本を世に問うということは、手塩にかけて育てたわが子が親元を離れ、社会に出ていくことを見守ることに似ている。しかし、人間の人生がさまざまな出来事の連鎖や運に左右されてしまうことがあるように、一冊の本の運命もさまざまだ。
2022年に本書のオリジナル版が上梓された後、いくつかの書評で取り上げていただいただけでなく、光栄なことに、その道の活躍されているトップランナーともいうべき方々が本書を取り上げて下さった。そのひとりは、終章で触れている生命科学のレジェンドである中村桂子氏である(『人類はどこで間違えたのか』中公新書ラクレ)。もうひとり、著名な国際ジャーナリストである堤未果氏も『ルポ 食が壊れる』(文春新書)の中で参考にして下さったようだ。そして、この本は2023年の第21回日本NPO学会賞を受賞した。
しかし、順風満帆に見えたその矢先、突然、暗礁に乗り上げた。出版不況が構造化する中、コロナ渦という大打撃もあって、版元の出版社が倒産に追い込まれたのである。
今般、創成社さんのご厚意により、「新装版」として復刊できることになった。新装版にあたり、オリジナル版が出た後の2年間の編者それぞれの問題意識の深まりを踏まえ、巻末に「追補 内発性とデコロニアル:近代西洋的な人間中心主義を超えて」を設けた。読者の方々の思考と実践の参考になれば幸いである。
(「『新装版』によせて」より一部修正のうえ抜粋)
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