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2024/6/18 - News&Topics

『海辺の彼女たち』映画上映会を実施しました

2024年5月29日と30日の2回、交流文化学科では、国連アカデミック・インパクトの第10原則「異文化間の対話や相互理解を促進し、不寛容を取り除く」へのコミットメントとして、『海辺の彼女たち』(2020年日本・藤元明緒監督・脚本)映画上映会を実施しました。

『海辺の彼女たち』は搾取的な労働を強いられていたヴェトナム出身の技能実習生3人が、非合法のブローカーを頼って北国の海辺の街へ辿り着き、新たな仕事に就くのですが、そこでも厳しい現実が彼女たちを待ちうけていた、という物語です。彼女たちの一人は妊娠していることに気付き、産婦人科の受診を希望しますが、技能実習を失踪した彼女には身分を証明する在留カードも健康保険もありません・・・。

以下、学生たちの感想からいくつか紹介します。

私は今までキラキラした恋愛映画やハッピーエンドのミュージカル映画しか見たことがなく、自己紹介の時には決まって趣味は映画鑑賞ですと言っていました。しかし、今回の講義で『海辺の彼女たち』を観て自分は映画が好きだという認識が覆りそうになるくらいの衝撃を受けました。明るい音楽は使われず、まるで実際の様子をカメラで撮影した記録のような演出に引き込まれました。(中略)異文化を理解したい、人種差別をなくしたい、そう思い入学した私ですが映画を見終えた今、その夢を実現することがいかに難しいかがわかりました。この映画を他人事としてではなく自分事としてとらえ、今後当事者の立場に立った時何ができるのか考え生活していきたいです。 

もっとも印象に残ったシーンは、3人のうち1人がベトナムで妊娠してしまって、日本に来て1度も生理が来ていない中、頑張って行ける病院を探して、裏ルートで身分証や在留カードを作り、何とか診てくれる病院に行き、その病院でお腹のエコーをしてもらった時に赤ちゃんの鼓動を聞いて女性が涙を流しているシーンです。鼓動を聞くことによって、本当に自分のお腹に命が宿っていると実感しただろうし、この子を育てたい、だけどこの子を育てながら日本で働くことは出来ないし、誰かに面倒を見てもらうことも無理だと思ったのではないかなと考えました。私はこのシーンを見た時に、私だったら絶対この鼓動を聞かされたらとてもじゃないけど堕ろすことは出来ないし、この女性も堕ろさなくてはならないとは言いながら結局産むのではないかなと思っていましたが、最後中絶するための薬を飲んで終わったのでとてもショックだったし驚きました。赤ちゃんを堕ろすという選択をしたこともショックでしたが、あんなに感動していた赤ちゃんを堕ろさなくてはならない状況にこの女性がいる、ということにもショックを受けました。

全体を通して私の知っている日本のはずなのに、とても怖いように感じました。意味のわかる日本語が聞こえてきているけれど、自分にとっても全く知らない地にいるようでとても恐怖を覚えました。電車の中の人や産婦人科の人など、普段の自分なら何気なく通り過ぎそうだと感じるような景色でも、周りの人全員が自分を敵視しているように見えて、自分の居場所がないように感じました。これらは全て、周りに日本人だけの中で必死に生きようとしているベトナム人の彼女らから見た日本なのだと思いました。自分に見えている日本とのギャップにとても驚いたし、そんな差を生み出す制度は変わらなければならないし、その差に気づかずに生きていてはいけないと思いました。そしてこのように事実を知ることで自分の視野を広げてたくさんのことに目を向けて自分なりの考えを持ち、行動できる人間になりたいと思いました。