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2024/2/1 - DoTTS Faculty 教員コラム

裁判官を演じてみませんか(高橋雄一郎)





獨協大学には法廷の内部を再現した「法廷教室」があります。ふだんは法学部の授業に使われていますが、空きコマがあると私たち他学科でも使えます。

私が担当している授業「移民難民と日本社会」では今年、中島京子さんの小説『やさしい猫』(中央公論社、2021)をテクストに使いました。この小説のクライマックス、裁判の場面を、受講生の皆さんに法服を着て演じてもらいました。

海外で勉強する、働く、家族を持つ、といった体験はグローバル化の進展で、誰にでも起こりうるできごとになってきました。交流文化学科の学びには、国境を越えた移動や労働、新しい家族の形なども含まれます。現在、300万人を超える外国人が日本で暮らしています。海外にルーツを持つ人たちを含め、誰もが暮らしやすい社会を作っていくことが大切です。

小説『やさしい猫』の主人公はスリランカ人自動車整備工のクマラさんと、保育士で日本人シングルマザーのみゆきさんです。二人は東日本大震災後のヴォランティア活動を通じて知り合い、結婚します。ところがクマラさん、勤務先の整備工場が倒産してしまったことから在留資格(ヴィザ)を失って逮捕され、刑務所のような出入国在留管理庁(入管)施設に収容されてしまいます。このままだと彼はスリランカに強制送還され、二人は離ればなれとなる危機に・・・。

日本で真面目に働いていたクマラさん、愛しあうパートナーを得て幸福な人生のスタートを切るはずだったのに、なぜ、こんな目にあわなければならないのか。続きはぜひ、小説『やさしい猫』を読んでください。テレビドラマとして放映されたシリーズは、有料ですがNHK+で視聴できます。また舞台化されたヴァージョンが劇団民藝によって、2月3日から11日まで、新宿の紀伊國屋サザンシアターで上演されます。

https://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2024_yasashiineko/

法廷教室
法服を着た学生たち